「会社を辞めたい」と伝えたのに、上司に強く引き止められたり、嫌がらせを受け、なかなか辞めさせてもらえず困っていませんか?
この記事では、退職の申し出がスムーズに受け入れられない実際のケースをパターンごとに解説し、法律的な視点からどう対応すべきかを整理していきます。
精神的・肉体的に追い込まれる前に、知っておきたい対処法と選択肢をご紹介します。
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「仕事を辞めさせてくれない」は違法になる?
労働者には辞める権利がある
まず知っておいてほしいのは、会社に「辞める自由」は拒否できないということです。
違法となる会社側の行動例
会社側が退職の申し出に対して不当な対応を取ることがあります。以下は法律に違反する可能性がある代表的な行動例です。
損害賠償を請求すると言われた
退職の意思を伝えた際に、「損害が出るから賠償請求する」「○ヶ月前に辞めるという約束を破ったから違約金を払え」などと脅されることがあります。しかし、こうした請求は労働基準法第16条に反します。
労働基準法第16条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償を予定する契約をしてはならない。
つまり、あらかじめ契約や就業規則に「退職時には○万円支払う」などと書かれていたとしても、法的効力はありません。こうした脅しには一切応じる必要はなく、強い口調や不安を煽るような発言があった場合は、音声を記録するなど証拠を残した上で労働基準監督署や退職代行サービスに相談することをおすすめします。
懲戒解雇をほのめかさせれる
「引き継ぎせず辞めるなら懲戒解雇にする」「社会人として失格だ」などと脅されることがあります。懲戒は、離職票に「重積解雇」と記載され、経歴に大きな傷がつくほど、労働者にとっては重い処分です。しかし、こうした発言は労働基準法第15条に反しています。
労働基準法第15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
正当な理由なく「辞める=懲戒解雇」とするには法的に認められません。会社が強硬な態度に出てきた場合でも、不安に思って従う必要はありません。記録を残し、場合によっては不当解雇として争うことも可能です。
有給休暇の消化を拒否される
「辞める人には有休は使わせない」「忙しい時期だから無理」などと言われ、退職前の有給取得を拒まれるケースがあります。これは労働基準法第39条に反しています。
労働基準法第39条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
退職前に有休を使うことは、法律で認められた労働者の正当な権利です。会社の都合で拒否されるものではなく、取得の意思をしっかり伝えることが大切です。それでも認められない場合は、労基署に相談しましょう。
離職票の交付を拒否される
退職後に失業保険を受け取るには「離職票」が必要ですが、「手続きが面倒」「自分でなんとかして」と発行を拒否されたり、放置されることがあります。しかしこれは雇用保険法施行規則第7条に反しています。
雇用保険法施行規則第7条
離職した者は、厚生労働省令で定めるところにより、従前の事業主又は当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付に関する事務を処理する労働保険事務組合に対して、求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付を請求することができる。その請求があつたときは、当該事業主又は労働保険事務組合は、その請求に係る証明書を交付しなければならない。
離職票は退職者の申請権利であり、会社側が発行を拒むことはできません。請求しても発行されない場合は、ハローワークに相談すると、会社に発行を促してもらえる場合があります。
給与が支払われない・遅らされる
退職した社員に対し、「処理が終わっていないから給与はまだ出せない」「辞め方が悪いから支払わない」などと、給与を支払わない会社も存在します。こうした対応は労働基準法第24条に反しています。
労働基準法第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
働いた分の給与は、退職後であっても必ず支払われなければなりません。支払いがない場合は、まずは明確に請求し、それでも支払われないときは労働基準監督署への申告や、労働審判・少額訴訟などでの回収も視野に入れてください。
「少し待ってほしい」というお願いは違法とまでは言えないことも
退職の意志を伝えた際に、会社からすぐに了承を得られないことがあります。しかし、こうした対応がすべて違法にあたるとは限りません。
たとえば、退職のタイミングが業務の繁忙期にあたっている場合、「せめて繁忙期が終わるまで待ってほしい」と頼まれることは珍しくありません。また、現場の人手が不足している職場では、「後任が決まるまで少し猶予をもらえないか」と相談されることもあります。
このようなケースは、会社側の都合による“お願い”の域を出ないものであれば、違法とは断定できません。ただし、お願いであれ強制であれ、退職を拒否する権限は会社にはないことも忘れてはいけません。従うかどうかはあくまであなた自身の判断に委ねられており、納得できない場合はそのまま退職手続きを進めることも可能です。
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辞めさせたくない会社の事情とは
退職の申し出をしても、なかなか受け入れてもらえないことがあります。その背景には、会社や上司側の事情が隠れていることが多いです。以下に代表的な理由をまとめました。
人手が足りない
慢性的な人手不足に悩まされている職場では、一人辞めるだけで業務が立ち行かなくなるリスクがあります。特に現場系・小規模組織・繁忙期の部署では、あなたの穴をすぐに埋められず、「あともう少しだけ」「今だけ我慢して」と引き止めに走ることがあります。
採用・教育コストがかかる
新たな人材を採用し、戦力化するまでには時間もコストもかかります。求人を出し、面接をし、内定後に研修をして…というプロセスは、会社にとって想像以上に手間がかかる作業です。あなたが抜けることで発生するこの手間と費用を嫌がり、「できればこのまま続けてくれないか」と訴えてくるケースは少なくありません。
離職率が高くなる
企業によっては、社員の離職が続くことで会社の印象が悪くなることを懸念して、退職を引き止めようとするケースがあります。実際、離職率が高い会社に対しては「人が定着しない」「職場環境に問題があるのでは」といったネガティブな印象を持たれ、ブラック企業のレッテルを貼られてしまいます。
特に採用に力を入れている企業や、イメージを重視する業界では、こうした評判が新たな人材確保の妨げにもなるため、退職そのものに対して神経質になりやすい傾向があります。
上司が自分の評価を気にしている
直属の上司の立場から見ると、部下の退職が自分のマネジメント不足と見なされることを恐れるケースがあります。「人が定着しない」「部下をうまくコントロールできない」と評価されることで、上司自身の査定に悪影響が出ることを気にして、必要以上に退職を引き止めることがあるのです。
ただし、これらは会社側の都合であり、あなたが無理をしてまで残る必要はありません。あくまで決定権は自分にあることを忘れないでください。
辞めたいと伝えたのに辞めさせてもらえない時の対処法
「退職届」を出して、退職の意思を明確にする
「退職願」ではなく「退職届」で意思を強く示しましょう。どちらも退職を伝えるための書類ですが、実は役割が異なります。
「退職願」は会社に退職の意向を申し出る際に提出するもので、会社からの承認を得る必要があります。一方「退職届」は、会社に退職の可否を問わず、会社に退職を通告するための書類です。
書面に残すことで、法的にも有効な証拠となります。
労働基準監督署に相談
社内であらゆる手を尽くしたけれど、会社に退職を認めてもらえないときは、労働基準監督署への相談も選択肢の一つです。労働基準監督署は、労働者の権利を守るために、行政指導や調査を行う機関です。相談は無料で、匿名でも可能です。
相談後は、労働基準監督署が会社へ勧告するほか、場合によっては調査のために会社に訪問することもあります。ただし基本的にはアドバイスを受けられるだけで、結局は退職の手続きややり取りは自分でする必要があります。
退職代行サービスを利用する
退職代行サービスを活用すれば、代行業者から会社に退職の連絡をしてもらい、その日から出社の必要がなくなります。代行業者が間に入るため、会社と直接話をする必要もありません。また退職手続き以外にも有給休暇の取得や残業代の請求もしてくれます。
早く、ほぼ確実に退職手続きを進められるため、退職代行サービスを活用するのが、精神的にも肉体的にもおすすめです。
私の友人にも、退職の意向を伝えたが、その後なかなか辞めさせてもらえず、半年以上引き延ばされ、本当に死にたいと思うほど心と体が疲れてしまった人がいました。彼も、退職代行サービスのおかげで無事会社を辞めることができ、今は伸び伸びと新しい環境で日々過ごしています。
心と体が病んでしまう前に早く環境を変える行動をとりましょう。
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辞めた後はどうすればいい?
退職代行サービスを活用すれば、有給休暇消化の交渉もしてくれます。そのため有給休暇期間中に転職活動をすることもできます。
少しゆっくり過ごしたい場合は、失業保険も申請すれば受け取れるので、辞めた後に今後どうするか考えてもいいでしょう。
※失業保険の受け取りには条件があります。また失業手当の受け取りが始まるまでの期間は退職理由によって異なります。
辞めさせてくれない会社に居続けると、転職活動や今後のキャリアを考える時間がなかなか取れません。
まずは退職代行サービスを活用して、すっきりした状態で次のことを考えていけるといいかもしれません。
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